またここ数年(2011年頃から)エチオピア産のオパールも、市場に多く出回るようになりました。これらの国以外にも、南米のブラジルやペルー、インドネシアなどでも採掘され、ごく少しですがハンガリーや日本の福島県などでも採れることがあります。ただしこれらは宝石としての価値がたいへん低いもの(つまり美しくないってことです)、あるいは処理をされている(色を付けたり、濃くしたり)ものが多く、やはりオーストラリア、そしてメキシコが、宝石オパールの産地として不動の地位を築いています。
メキシコ産とエチオピア産に代表される"火山性"のオパールと、オーストラリア産のような"堆積性"のオパールには、含まれる水分量や、それに伴う性質、特徴が違ってきます。オパールの出来る過程については、上級編でご紹介しようと思います。
メキシコで採掘されるオパールは俗にメキシコオパール、そしてエチオピアで採掘されるオパールはエチオピアオパールと呼ばれていますが、どちらも水分量の多い、透明感のあるオパールが多いようです。一方、オーストラリアで採れるオパールは、オーストラリアオパールとはあまり呼ばれず、その石の持つ色合いなどの特徴から大きく3種類に分けて呼ばれることが多いようです。ここではオーストラリアで採掘されるオパールの種類を見ていくことにしたいと思います。
オーストラリアのオパールの分け方には何通りかの方法がありますが、最も普通に使われている方法で3種類をお話していきます。
ご覧のとおり、石自体のベースカラー(地色)が白く、そのためホワイト(白)オパールと呼ばれています。オパールの中で、もっともポピュラーな種類で、多くの皆さんが、オパールと聞けばホワイトオパールを思い浮かべるはずです。
南オーストラリアの広い地域から産出され、また大きな塊として採掘される為、日本にもたくさん輸出されているオパールです。
上の写真のホワイトオパールは実は貝殻の化石です。ホワイトオパールでは、このように貝殻や動物の骨、樹木の化石などがオパール化して見られることがあります。どうして貝殻がオパールになっていくのかは上級編でご紹介します。
主な産地 : Coober Pedy (クーバー・ピディ)
オーストラリア北東部、クイーンズランド州で採掘されるオパールです。ボルダー(日本語にすると"岩"とか"塊"という意味です)と呼ばれる、鉄鉱石の塊の隙間につくられることからこの名前がついています。また別名、母岩(ぼがん)オパール、あるいはアイアンオパール(鉄オパール)などとも呼ばれることがあります。
上の写真は、同じボルダーオパールを表と裏から撮ったものです。もちろん左が裏面、右が表面です。このタイプのオパールは、必ずといってよいくらい、この石のように裏面に鉄鉱石を残して研磨されます。このことが母岩オパールと呼ばれる理由です。
もうひとつ写真を見ていただきましょう。この写真はボルダーオパールの原石を写したものです。茶色の鉄鉱石の隙間にオパールが入り込んでいるのが良くわかっていただけると思います。まるでお母さん(鉄鉱石)が子供(オパール)を大切に抱きかかえ、育てているようではありませんか。
このように、隙間に入り込んだオパールを、細心の注意を払って磨きだすため、オパール層の厚い、良質のものはたいへん貴重になります。また、すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、このタイプのオパールは、必ずしも皆さん良くご存知の楕円形にカットされるとは限りません。オパール層を出来るだけ残して研磨をしていくため、磨かれた石、ひとつひとつがそれぞれ異なった形を持っています。その色だけではなく、形もたいへん個性的な宝石といえるでしょう。そのため宝飾デザイナーの方たちが、その個性的な装いに感化されるのか、最も多く利用するのがこのタイプのオパールです。
主な産地 : Winton (ウイントン)
ブラックオパールについてはページを変えて話をしていこうと思います。それでは次のページへどうぞ。