今日ご紹介するのはこれ
南オーストラリアの アンダムーカ(Andamooka)で採掘されるオパールです。
日本でも “ ブラック・マトリックス・オパール(Black Matrix Opal) ” なんて名付けられ、よくビーズに研摩され販売されているのを目にします。
そしてこのオパール、ある処理を施されたトリートメントオパールです。
その処理方法は、、、
アンダムーカは “Great Artesian Basin (大鑽井盆地)” の縁にある、オーストラリアオパールの主要な産地のひとつです(地球最大の地底海とオパールの関係 )。
北側に位置するクーバーペディ同様、主に白っぽい色合いのオパールが産出されます。
そんなアンダムーカ産オパールの大きな特徴のひとつが、その生成状態です。
ボルダーオパールが鉄鉱石の隙間にできるように、アンダムーカのオパールは砂岩や石灰岩の隙間に生成される場合があります。
この砂岩や石灰岩は、鉄鉱石のように堅牢ではなく、隙間の多い、言ってみれば “スカスカ” の状態の鉱物ゆえ、その間に生成されるオパールも、上の写真のように、たいへん細かく分散された状態になります。
こちらがアンダムーカ産
そしてこちらがクイーンズランド産のボルダーオパール
どちらも母岩の奥から湧き上がるような遊色を見せてくれるため、“マトリックス” オパールとも呼ばれます。
でも、固い鉄鉱石の亀裂にできるボルダーと違い、“スカスカ” の母岩に散りばめられたアンダムーカ産マトリックスオパールは、この生成状態のため、オパールのみを宝石面として磨くことは100%不可能です。
また、色合いの白っぽいものがほとんどですので、採掘されたままの状態では上の写真のようなハッキリとした遊色を見ることはできません。
オパール業者の間では、このオパールのことを別名 “コンクリート(Concrete)”なんて呼ぶこともあります。
白い穴だらけのコンクリート製ブロックを想像してください。
そんな白いコンクリートに含まれるオパールをよりアピールするために、ある処理が施されます。
業者間では“Cook” つまり “料理する” なんて言いますが、採掘されたものを熱して黒くし、色を引き立たせる処理方法です。
その料理方法は、
- カットされた状態のマトリックスオパールを乾燥させることで、母岩の隙間から水分を完全に取り除いておきます。
- 1カップの砂糖と同量のお水を耐熱容器に入れ、砂糖が完全に溶けるまで加熱します。
- 2.の砂糖水に、乾燥させたマトリックスオパールを入れ、7~10時間ほど煮込みます(砂糖の濃度が濃くなりすぎないよう、水を補ってやることが大切です)。
- 煮込み終わったオパールを冷まします。
- 別の容器に濃硫酸を用意します。
- 4.のオパールを取出し、砂糖水を十分切った後、5.の濃硫酸の中へ注意して入れます。
- その状態で、オパールの色合いの変化を観ながら2時間ほどゆっくりと熱します。
- 十分色合いが濃くなったら、オパールを取出し、砂糖水あるいは重曹溶液などに入れ、硫酸を中和します。
そして出来上がったのがこちら、
隙間に入り込んだ砂糖が酸で完全に黒化し、全体的に黒くなっています!
まさにブラックマトリックス!!
独特の雰囲気がたいへん個性的で、魅力的なオパールです。
ですが、やはり処理石であることを明記されていなかったり、 “天然石”と高らかに宣言して販売されていることもありますので、その点の注意は必要です。
処理石であることをふまえて、その魅力を存分に楽しんでください!
「最近はCooked Opal (料理したオパール)じゃなくて、BBQ Opal (バーべキューオパール)って呼ぶんだヨ、オーストラリアらしいだろ ・・・・ 」
先日、友人にそんなこと教えてもらいました。。。
バーベキューオパールって ・・・・・
※ ご紹介した処理の方法、料理方法は、知人から聞いた方法です。私が個人的に行っているわけではありませんので詳細は不明です。特に硫酸を使用することはたいへん危険が伴う部分です。万が一にも、ご自分で「料理してみよう!」、などとお考えにならないよう、念のためお願いをしておきます。。。