これがにっぽん品質 !
田沢製作所製 下肢装具 A-6 !!
実はこのブログで、閲覧数 Top 5内にいつも入っているのがこちら
オーストラリアに生活する日本人同志諸氏の、お役に立っているかと思うと嬉しい限りです。
そこで、今日は “ ひょっとしたら ”、“ いつか ” 誰かの役に立つかもしれない、今回のアキレス腱についてのこれまでの経験を、順を追ってお伝えしたいと思います。
2月の中頃に自慢の腱を痛め、なんとかゴールドコーストに戻り駆け込んだのが GP ( General Practitioner、一般医 )と呼ばれる地元のお医者さん。
そこで簡単な問診の後、エコー検査を受けるよう指示を受け、別の検査専門機関へ。
そして翌日、その結果がGPの元に届いたことを確認後、再度GPの先生に診察を受け、断裂していること確定 、、、
ここまで、事故から4日。
この時、GPの先生からは、早急に専門医( Specialist )の診断を受け、手術することをすすめられますが、日本へ帰る期日が迫っているため、オーストラリアでのそれ以上の治療を断念し、日本に戻ってから本格的な治療に入ることに決めます。
オーストラリアの医療制度では、このようにまずはGP、そして専門医と流れが決まっていて、余程の緊急ではないと、いきなり専門医に診断を受けることはありません。
そしてこの専門医に診てもらうまでの期間に、ふたつの違ったスケジュールがあります。
ひとつは、すぐに、一日も早く、専門医に診てもらえるスケジュール。
もうひとつは、順番待ちのリストに従い、自分の順番が来るのをじっと待つスケジュール。
どちらのスケジュールになるのか?
それを決めるのは??
『 okane、お金、Money 』です。。。
救急車も有料なオーストラリア、早く専門医の診察を受けるためには、健康保険の効かない私的な医療機関( Private Hospital )へ行くのが一番の道。
でも保険が効かないので、治療費は全て自己負担になります。
そして、もちろん相当高額!
自己負担ができない人達は、公的な医療機関に行き、ひたすら順番待ちするのみ。
順番待ちと言っても、時間単位ではありませんよ。
日、週、ひょっとすると月単位!!
オーストラリア国内でも幾度も問題視されていましたが、癌の手術を受けるのに数か月の順番待ちになり、その間に患者が亡くなってしまうなんてことも、、、
こうした待ち時間を回避し早く見てもらうため、そして自己負担の医療費を軽減するために、各保険会社が販売する医療保険に加入することが一般的です。
月々一定の掛け金を支払い、もしもの時に備えるのです。
オーストラリアに拠点を置いていた2年前までは、私もこの保険に加入していました。
ちなみに、当時の月々の掛け金は 1万5千円(!)くらいと決してお安くはない金額。
一昨年、日本へ拠点を移すとともに、このプライベートな医療保険も止めてしまっていたことも、日本に戻ってからの治療を決めたひとつの要因でした。
GPの先生からは、
「日本に戻るまで、とりあえず Moon Boot 買ってはいていなさい」
とのアドバイス。
「先生、Moon Boot とやらはどちらで買えるんです?」
私の問いに、
「ネットでオーダーするか、、、そうレッドクロス(Red Cross)に行けばあるかな?」
とちょっと怪しい先生のお答。
ネットで買ったって日本のように翌日配達されるわけもないオーストラリア、時間のない私の選択肢は、必然的に地元の “ Red Cross ” 。
このRed Cross、オーストラリアの赤十字は、献血など日本と同じような活動以外に、地元の人達から寄付されたものを販売して寄付などに充てる、チャリティーバザール的な活動や、車いすや松葉杖などのレンタルなどもしています。
さっそく近所のレッドクロスへ行ってみると、ボランティアと思しき優しそうなご婦人のお出迎え。
私:Moon Boot ありますか?
ご婦人:あら、レンタル用の Moon Boot はないわね。
私:・・・・・
ご婦人:アッ、ちょっと待って、先週寄付されたものがひとつあったかしら。。。
そしてしばらくして店の奥から持ってきてもらったのがこちら
最初の写真と比べていただいても、良く似ている構造の、このブーツでした。
ご婦人:これはレンタル用じゃないから、買っていただかないとならないけど、、、
私:買うのはかまいませんけど、おいくらですか?
ご婦人:えっと、(ゴソゴソ)、、、あ10ドルだわ。
私:買います(キッパリ)。
こうして10ドル、およそ900円で手に入れたブーツを装着し数日、そして9時間のフライトを経て成田へ無事帰国。
帰国したのは事故発生から8日後。
この間、特に痛みもなく、ただひたすら右足をかばう生活のもどかしさに悩まされました。
帰国の翌日。
知人に教えていただいた『 浦和レッズの選手も通う、アキレス腱のエキスパート 』との呼び声高い病院へ。
もう一度エコー検査を受け、整形外科の実直そうなドクターのアドバイスは、
「切れている場所と八巻さんの年齢、そしてリスク等を考慮すると、手術ではなく保存療法をおすすめします」
とのこと。
手術と保存のメリットデメリットをお聞きし、最終的には自分で保存療法で行くことに決めました。
そして、その日はそのままギブスで固められ、松葉杖をレンタルして(この病院では預り金として8千円を払い、治癒後に杖を返却した際に返金してくれるシステムでした)歩行の訓練を受けて帰宅しました。
初めてのギブス!
まして、アキレス腱をつなげるために爪先までできるだけ一直線に固められた状態
もうその時点から右足を着くことができない生活
不便この上ない生活が始まります。
慣れない松葉杖も、毎日がドキドキと恐怖の連続。
何度も転びました。
トイレに行くにも、横になるのも、何もかもがシンドイ。。。
2週間後に再度病院へ行き、ギブスを巻きなおしてもらい、トータルで約5週間ほどのギブス生活でした。
そして、とうとう最初の写真、田沢製作所製 下肢装具 A-6の登場です!!
あらかじめ、病院にいらっしゃった製作会社の技師さんに寸法を見てもらい、自分用に用意していただいたこの装具。
そのお値段は、、、『 52,766円 』!!
900円と
52,766円!
外観は似ていても、日本製の方がガッシリ。
金属部品が使われていない Moon Boot と違い、強固なメタル、金属で固められています。
「これはすごい!安心だ!!」
と感動したのもつかの間、実際に装着してみるとその重さにビックリ!!!
そして、これを着けた右足が何気に左足にぶつかった時の、飛び上がるような痛み!!!!
すぐに左足の内側の踝周辺はあざだらけになりました(田沢製作所さん、この辺りは改善の余地ありかも)。
そしてもうひとつ大きな違いが。
実際に足が乗る部分が、普通のブーツのように真っ平らなオーストラリアに比べ
踵が持ち上がったスタイルの日本製。
日本のドクター曰く、この違いがオーストラリアの Moon Boot をアキレス腱治療には使えない理由なのだとか。
この踵の部分には、
プラスチック製の板が3枚入っていて、状態を見ながら、その板を外して行き、少しずつ平常な足の状態に近づけていくのだそうです。
つまり、最初はアキレス腱がくっ付き易いように爪先立ちの状態を保ち、徐々に腱を伸ばしていくようにすることで、リハビリも行いつつアキレス腱の再生を促す優れものなのです。
オーストラリアのものは、最初から平らですから、アキレス腱をつなげる助けにはならないということ・・・・・・・・・
オーストラリアにもおそらく同じようなものはあったのでしょう。
一時的な処置として、ドクターは Moon Boot をオススメしてくれたのでしょう。
そう思うことにしています。
話は戻ります。
5週間のギブス生活が終わって、
すっかり筋肉の落ちてしまった右ふくらはぎに驚愕し、
5週間ぶりの風呂で味わった、消しゴムのカスのような、擦っても擦ってもポロポロと出てくる、、、アレにオドロキ!!
ギブスと違い、少なくとも足を着けることで生活は格段に楽な反面、ギブスでガッシリ守られていない不安感が複雑に錯綜する心境のワタクシです。
この後、状態を見ながら装具の調節をし、アキレス腱の再生を目指す治療をしていく予定です。
そして少しでも元の状態に戻れるようリハビリと、また安全靴はいて穴にもぐれる日はまだまだ先のようです。。。
でも、ここで焦ってはダメダメ。
少しずつ、ゆっくり。
また、経過をご報告します。
長文、失礼しました。
“ Achilles tendon ”
アキレス腱のこと、英語でこう言います。
良かったら憶えておいてください。
ほぼ満開の川口です。