立て続けに寄せられた、悲しいお知らせを、今日はご紹介。。。
ひとつ目は、アメリカにお住いの Rさんからのメール
「数年前に、オーストラリア産ブルーオパールと言われて、ダブレットを購入しました。それをペンダントに仕立てて奥さんにプレゼント。彼女もたいへん気に入ってくれて、毎日着けてくれていました。」
悲劇はこの後です。
「ある日、はずすのを忘れ、ペンダントを着けたままプールに飛び込んでしまったんです」
!!!
「その後、オパールの輝きが失われはじめたことに、彼女は気づきました」
「色のなくなったオパールを直すことはできますか?」
そんなメールとともに送られてきた、数枚の写真。
この2枚は、プールに飛び込む前の、オリジナルの状態を撮影したもの。
確かにブルーの色合いのオパールですが、これはダブレットですらない、トリプレットオパールに間違いありません。
そして、
これが、飛び込んでしまった後。
!!!
これは、間違いなく、トリプレットオパールの接着面に水が入り込み、接着剤を曇らせてしまった症状!
一番初めの写真は、実験でほんの少しの間水につけたトリプレットオパール。
これと同じ状態が進んでしまった結果、輝きも色も失われてしまう結果に。
残念ながら、これを元の状態に戻すことは不可能です。
その旨をお答えしました。
奥さまの後悔、悔しさ、心痛、がっかり、
そしてご主人に対する申し訳ない気持ち
想像に難くありません。
そして、ふたつ目はこちら。
「オパールのお手入れについてのアドバイスをお願いします」
という書き出しで始まるメールは、ちょっとお住まいはわかりませんが Eさん。
「オパールのお手入れについて、あなたのウエッブサイトで読んで、助けていただけるのではとメールしました」
「婚約指輪としてクリスタルオパールの指輪をもらいました。石全体にオレンジの遊色を見せてくれるグリーンのきれいなオパールでした」
「もちろん、私のお気に入りの指輪のひとつになり、これまで6か月ほど着けていました」
「ですが、だんだんオパールの輝きが失われ、全体にフィルムを張り付けたように汚れてきてしままいました」
「どうやって掃除するのか? 絶対に水に浸けてはいけないのか?」
「そんなことを聞いたかどうか、定かではありません」
「水に浸けてはいけないって、本当ですか?」
「どうやって、元のようにきれい状態に戻せますか?」
そんな悲痛さが伝わってくる文面とともに送られてきた写真がこちら。
落胆、残念、無念、がっかり、憤り、、、
そうです、エチオピア産のオパールかと思います。
状態を拝見しても、普段から着けっぱなしに近い状態だったのでしょう。
もちろん、手洗いや水仕事の時も、、、
「あなたのオパールは恐らく、水を吸う性質のあるエチオピア産オパールだとおもいます。」
「元の色に戻すためにできることは、残念ながらあまりありません」
「割れてしまったり、もっと色が悪くなってしまうリスクも承知の上でできることは、きれいな蒸留水にしばらく浸けてやり、オパール内部に入り込んでしまった汚れをきれいな水で流しだしてやることです」
「ですが、必ず戻るとは限らないこと、ご理解ください」
これが私たちにできる精一杯のアドバイスです。
ご主人となった方が、一生懸命に走り回って用意してくれた、まさに一生ものの指輪。
悲しい限りです。
きっと、この指輪を販売したお店も、こんな状態になること、想像もしていなかったでしょう。
、、、、、、、、、
ふたつの悲しいお話をご紹介しましたが、このおふたりだけでなく、同様なお問合せは世界中から私たちのもとへ寄せられます。
ミネラルショーや小売店さんの展示会などでお目にかかる方、皆さんに必ずお聞きすること。
「オパール持っていらっしゃいますか? それはどこ産の、何オパールですか?」
オパールを持っているとお答えになったほとんどの方は、
「どこ産?」
「何オパール?」
「わかんない。知らない。」
そんなお答えをしてくださいます。
そのたびに、できっるだけお持ちのオパールのことをお聞きし、推測の上でお手入れ方法をお伝えするようにしています。
オパールとひとくぎりにできない、その性格の多様さ。
その表情が個性的であるのと同様に、持っている性質も様々です。
販売する側ですら、そうした性質の違いを知らず、知らないことはお客さまに伝えられるはずもないこと
オパール業界の最大の課題です。
オパール = 色が抜けてしまう
こんな方程式が、エンドユーザーの皆さんや宝飾関係者の間に成り立たないよう
微力ですが、これからも情報を発信していこうと思います。
お持ちのオパールが“ダブレット”、あるいは“トリプレット”オパールなら
絶対に水気にさらさない!
エチオピア産オパールなら
水気を避け、身に着けた後は必ず拭いてからしまう(真珠と一緒です)!!
どうぞ、宜しくお願いします。
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