なんでオパールって色が動くの?
どうしてひとつひとつが違うの?
そんな疑問に正確にお答えできるように
自分自身の“知りたい欲”を満たすために
オパールの正体を探っていきます。
オパールは結晶を作らない非結晶の宝石ということは皆さんご存知の通り。
では、どうして色があるのか?
なぜ私たちが魅了される表情、遊色を見せてくれるのか?
それは、WEBサイト(オパールの発色の秘密)をあらためてご覧いただくとして、その本当の姿をご覧いただこうと思います。
オパールの内部は、こうなってます。
走査型電子顕微鏡で観察されたオパールの内部構造です。
写真の右下に表示されているスケールバー“5μm”が大きさの単位です。
1μm(マイクロメートル)は、0.001mmです。
この倍率だと、「何かが並んでるぞ」くらいしかわかりません。
倍率をもう少し上げてやると、
何らかの構造が繰り返されているのがわかってきます。
別の写真もご覧いただきましょう。
倍率を上げます。
スケールバーの表示単位が“nm”になりました。
1nm(ナノメートル)は、0.000001mm、μmの 1千分の一です。
なんだか丸いものがきれいに並んでいるのがわかります。
これがオパールの構造、正体、色の秘密です。
二酸化ケイ素を主成分とした球状の構造、粒子が並んでいます。
WEBサイトでは模式図でご説明してきましたが、まさにつぶつぶが規則正しく並んでいます。
この粒のサイズをスケールバーを参考に計ってみると、約210nmくらいでしょうか。
ちょっとピンときませんね。
単位をなじみの“mm”にすると、0.00021mm、10万分の21mm。
やはりピンときません。
この写真のオパールはきれいに、同じ大きさの粒子が並んでいます。
WEBサイトでもご説明している通り、この粒子のサイズが色の秘密とされています。
粒子のサイズによって遊色の色が変わります。粒子の直径が小さいものから、紫、青、緑、黄、オレンジ、赤の順で大きくなっていきます。直径が0.0003mm以上の大きさにならなければ”赤”を見せてくれるオパールにはなりません。ほとんどのオパールの粒子は、0.00025mmより小さく、そのため”青”や”紫”の色合いが一番多くなります。
今回この写真撮影に使われたオパールは、
左上、”OPAL 1” と記されているものです。
繰り返しになりますが、
直径が0.0003mm以上の大きさにならなければ”赤”を見せてくれるオパールにはなりません。ほとんどのオパールの粒子は、0.00025mmより小さく、そのため”青”や”紫”の色合いが一番多くなります。
まさに、この通り。
今回のオパールの粒子は 0.00021mm。
理論通り、このオパールが見せてくれる色合いは、
赤ではなく、グリーン・ブルー!
誰かの知識を伝言しただけだったこれまでの自分に、何か少しモヤモヤがすっきりしたような、そんな気がします。
今日ご紹介した写真は、私自身が撮影したものではもちろんありません。
電子顕微鏡なんて、とても用意することはできません。
今回の写真は、公益財団法人 九州先端科学技術研究所にご協力、ご提供いただいたものです。
ありがとうございました。
チャンスがあれば、いろいろなオパールの構造を見てみたいと思います。
火山性オパールと堆積性オパールでは、構造に違いはあるのか?
エチオピア産オパールのように、吸水性のあるオパールには構造的に違いがあるのか?
本当に“赤”のオパールは粒子が大きいのか?
などなど、好奇心は尽きることがありません。
遊色のないオパール(コモンオパール)の構造も確かめてみたいですね。
いつになるかわかりませんが、またご紹介できるまで、のんびりとお待ちください。
肌寒いくらいの梅雨空ですね。
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