昨年12月から、染色処理をされたエチオピア産の ” ブラックオパール ” について実験をしてきました。
あれから2か月。
もともと、上の写真のような表情だったこのオパールたちは、2か月間精製水に浸けられてどうなったのか?!
結果はこちら!
先回、昨年の12月19日に色づいた精製水を取り換えてから今日まで浸けっ放しでした。
やはり水は薄っすらと茶色っぽくは変化していますが、12月19日の時ほどではありません。
ですが、オパールの方はご覧の通り、なんだか “ なすの漬物 ” のような、微妙な青みが強くなっています。
サンプルのひとつはエッジの周辺が透明になっている一方、もう一つの方はそれほどでもありません。
水から取り出してみると、その変化の違いがはっきりします。
まずはサンプル A
地色はまだ黒っぽく、遊色も見えます。
実験開始前(精製水に浸ける前)の重さが 1.475 ct、本日の重さが 1.62 ct。
途中で計測した重さの変化が、
1.475 ct 1.63 ct(2日後) 1.62 ct(5日後) 1.62 ct(2か月後)
1.62 ctでもうおなか一杯状態のようです。
1.62 - 1.475 = 0.145 ct、元の重さの約10%吸水したということになります。
左が実験開始前、右が2か月後。
地色は大きく変化していませんが、遊色はやはり弱くなっているのがわかります。
さて、もうひとつのサンプル Bは
サンプル Aよりも、地色が薄くなり、全体の遊色も淡くなっているようです。
実験開始前(精製水に浸ける前)の重さが 1.39 ct、本日の重さが 1.6 ct。
途中で計測した重さの変化が、
1.39 ct 1.6 ct(2日後) 1.58 ct(5日後) 1.6 ct(2か月後)
こちらも 1.6 ctでもうおなか一杯状態のようです。
1.6 - 1.39 = 0.21 ct、このオパールはなんと(!)元の重さの約15%以上吸水したということになります。
左が実験開始前で、右が2か月後。
もともと、サンプル Aに比べると地色の薄いオパールでしたが、もう全くの別物のようです。
地色が薄くなり透明感が高くなった影響で、遊色も薄く目立たなくなっています。
サンプル Aと Bでは、変化の大きさに違いがありました。
吸水量の差が、この変化の差の原因だろうと考えられます。
でも、この吸水量の差は、何が原因なのか?
染色処理を施された時の仕上がりの差なのか?
それとも、もともとこのふたつのオパールの採掘された場所や時期の違いによるものなのか?
採掘までさかのぼって調査することができないので、正確な答えは不明です。
ですが、エチオピアオパールが、自分の重さの(体重)の 10 ~ 15 %もの水分を吸うということがハッキリとしました。
体重60キロの人間が6キロのお水、6リットルお水飲むこと考えると、、、、
そしていったん染色処理を施されたものは、水分にさらされることで色が抜けることがわかりました。
同じような染色処理をされることのある他の宝石、例えばパールや珊瑚、ヒスイやカルセドニーなどでも、アルコールやアセトンなどの溶剤に浸けられると色が抜けることはよく知られていますが、今回のように水で色が抜けるというのはあまり聞いたことありません。
これも、エチオピア産オパールがハイドロフェンという性質を持つが故なのか?
とても興味深いものですね。
ネット上で「オーストラリア産ブラックオパール」として販売されていたリングを見つけたことから始めた今回の実験も、今日で一区切りです。
オーストラリア産ブラックオパールとして販売されている処理オパールについて
こんな状況の中、ネットでのお買物はより身近になったこの頃ですが、同時にネット上には様々な魑魅魍魎がはびこっているのも事実です。
どうぞ、お気を付けください。
漬物色になったオパールは、水から出して乾燥させてどうなるか?
いずれまた、ご紹介しますね。
気持ちの良い青空です。
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