この指輪を見てください。ぶつけてしまったためオパールが割れています。
こんな指輪を持っていらっしゃったお客さまのお話です。
この方はブリスベーンに住んでいらっしゃるオーストラリア人男性なのですが、とてもオパールが好きで、10年ほど前にこの指輪を気に入って購入されたそうです。
ぶつけてしまったため写真のように割れてしまったのが残念で、この指輪にのせかえる新しいオパールを探して当店にいらっしゃいました。お住まいのブリスベーンの近くには気に入ったオパールを置いている店が無く、わざわざ車で1時間ドライブしてのご来店でした。
最初にこの指輪を見せていただいた時にちょっと割れ方が不自然で、おかしな感じを持ったのですが、お話をお伺いすると結構なお値段で購入されたようで、ちゃんと保険にも入っていらっしゃるとのこと、今回はその保険会社からの保険金と少しプラスして気に入ったものを選びたいとのことでした。
話は脱線しますが、欧米の方は宝飾品に保険を掛けている方がたくさんいらっしゃいます。そのために宝石の価値を査定する“Valuer(その資格を持った人)”という職業があります。日本では宝飾品に保険をかけている方はまだ少ないのではないでしょうか。この辺に欧米と日本との宝石に対する文化の違いを感じます。
話を戻します。
無事、ブラックオパールの気に入ったものを見つけていただき、加工をするためにその指輪をおいてその日はお帰りになりました。
新しいオパールを乗せるためには、古い石を取らなければなりません。
その割れてしまったオパールを取ってやはり思っていたとおり。
ダブレットオパールでした。
黒いプラスチックの板の上に、ホワイトオパールが重ねてあり、それを写真のような埋め込みのデザインにして見事に隠した指輪でした。
後日、お客さまにお電話をして、そのことをお伝えすると少し驚いていらっしゃるようで、購入する時にはそんな説明は一切なかったとのことでした。とりあえず取り外す古いオパールは粉々になってしまうかもしれないことをご納得いただき、全てをお任せいただきました。
そしてこれが新しく出来上がった指輪です。
もしこの方が指輪をぶつけていなければ、ずっとそれが天然石だと信じていらっしゃったのでしょう。
もうひとつ、この指輪を査定したValuerも見抜けなかったということ。
宝石を購入する際は、やはり充分な注意が必要ですね。
ゴールドコーストは今日も快晴。でも日差しは柔らかになってきました。