『オパールの採掘をしてみたいのですが、どうしたらよいですか?』。
2、3ヵ月にお一人くらいの割合で、こんなメールをいただきます。
そのうちの半数ぐらいの方が、こう付け加えていらっしゃいます。『一攫千金を狙っているのですが』と。
“一攫千金”、とても魅力的な言葉です。男性、特にお若い方でしたらどうしてもこの言葉には惹きつけられずにはいられない、ですね。
ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、昨年末より日本で公開されています映画【ポビーとディンガン】、この映画はオパール採掘に一攫千金の夢を抱く父親を持った一家のお話です。
映画の中で、この父親は、舞台となっているライトニングリッジ(ブラックオパールの産出地です)ではどうやら新参者で、周りの鉱夫たちから無視されたり、家に火をつけられたりとつらい目にあっていきます。
そんな環境の中で、主人公兄妹の心温まるお話なのですが、やはり現実の採掘現場でも同じとは言いませんが、近い雰囲気は感じられることがあります。
世界中から“一攫千金”を狙って様々な人間が集まる街、いろいろな憶測や嫉妬や、そして競争心の渦巻く街。世界中どこでも宝石の採掘地はそのようなものだと想像できます。
前述のようなメールをいただいた場合、私は決して『やめなさい』とは言いませんが、現実を知っていただくために、いろいろな面でアドバイスを差し上げています。その上で、結論はその方が決めること。
特にブラックオパールの場合、採掘地がとても限られていることに加え、採掘量が激減していること、そして採掘経費の上昇(主にガソリン代の上昇が大きな痛手になっています。)による採算性の低下、といった厳しい状況の中で、15年前は約1,500人もいた採掘者が、今では100人程度に減少してしまっているのが事実です(儲からないからです)。
本当に“一攫千金を”狙うのであれば、それなりの覚悟と資金が必要です。そこへ行って掘ればすぐにお金になる、そんな簡単なものではありません。
いろいろと説明させていただきますと、ほぼ100%の方にその厳しさを納得していただけるようです。
これまで実際に実行された方はいらっしゃいません。
貴重な宝石は、美しく磨かれ、皆さんの前に姿を見せるまでには、いろいろな運命をめぐっているのです。
ゴールドコーストは今日も快晴。まぶしい日差しが充満しています。