私に宝石のイロハを教えてくれた師匠が、よくこう言っていました。
『宝石はルーペで見るものではない!』
この師匠の口癖の意味がわかるようになったのは、それからずいぶん日が経ってからのことでした。
オパールにしろエメラルドにしろ、はたまた真珠にしろ、宝石は細かいところをイジイジと粗探しをするのではなく、色合いやバランスを大きな視点で楽しむもの。
それが、本当に宝石を見極めるコツであるという彼の経験から来る主義、ポリシーでした。
宝石のキズや内包物、あるいは特徴的な内部構造などは、もちろんルーペを使わなければ見切れるものではなく、人間の目の限界を超えている世界です。
ですが、本当に宝石を“愛でる”にはルーペなど必要ありません。人間の目で見るからこそ、全体的なバランス、風格、そして色調が見えてくるのです。
オパールをご覧いただくときでも、最初からいきなりルーペを手にする方がいらっしゃいます。
そんな姿を拝見していると、私の心の中で『あ~ぁ、可愛そうなオパール。この人のところには嫁がせたくないな。。』なんて声が。
もちろん私もルーペは多用しています。ですが、それはその宝石を肉眼でよく楽しんでから、堪能してから、最後にキズ等の有無の確認をするためにだけです。
人間と一緒で、まずはトータルな視点で相手を見ることが大事。細かいチェックをするのはそれからです。
ところが何事にも例外が有るのは世の常。
今日ご紹介するこのオパール。
これだけは是非ルーペでも楽しんでやってください。
“マトリックス”と呼ばれるこのタイプのオパールは、全体的な雰囲気もさることながら、拡大してみたときのその巧妙な表情、色合いには息を呑むものがあります。
自然が作り出した精密な細工。
一味違った違ったオパールの魅力を発見することが出来ます。
この種類のオパールをもっとご覧になりたい方。
こちらからどうぞ。
だんだん蒸し暑さがましてきた。そんなゴールドコーストです。