悪魔か? 救世主か?

彼女の名前は Ms.Pauline Hanson(ポーリン ハンソン女史)。


1990年代後半にずいぶんと勢いのあった“政治家”さんです。
仲間と“ONE NATION(直訳するとひとつの国家、裏返して意味を加味してみると白人だけの国家)”という政党を結党し、一時は絶大な人気を誇っていました。
彼女の政策の柱は、移民、とくにアジアからの移民を制限するということ。
強い口調で、さもアジア人が悪い病気のように語る独特の演説は、我々アジア人とすると“フンッ”と横を向きたくなるような、そんなイメージを持った人でした。
オーストラリア人(彼女に言わせると、オーストラリア人=ヨーロッパ系、あるいは白人)が仕事にあぶれているのは、年々増え続けるアジア移民のせい、アジア系の政治、議会への進入を食い止めなければ、、等など、どう聞いても差別主義としか思えない発言が毎日のようにメディアをにぎわしていました。
ですが当時、景気も下降気味で、失業率も高かったオーストラリアで、仕事を失いたくない国民の気持ちをうまく捉えたのは間違いありません。
その後、政党助成金にかかわる疑惑で3年の禁固刑に処され、彼女も、そして政党そのものも急速に勢いを失っていきました。
3年間のいう牢獄での刑期を終えた彼女は最近、テレビでダンスを踊ってみたり、コメンテーターのようなまねをしてみたりと、政治家というよりはタレント的な活動をしていたようなのですが、とうとう政治活動に復帰するような言動が。。。
最近の彼女の標的はもちろんアジア人は一番ですが、アフリカ人、そしてイスラム諸国の人たちまでにも広がってきたようです。
曰く、アフリカ人はエイズ感染者が多いからダメ、イスラム系の人たちはキリスト教的な風習にそぐわないからダメ。。。
ますます、過激な発言が増えてきたような気がします。
女史によると、他民族、多文化国家は成り立たないそうです。民族間で内戦をしている以前のユーゴスラビアや今のイラクを見なさい!ということだそうです。(世界最大の多民族国家アメリカを忘れていませんか?)
日本のような単一民族に近い状態で長い間成立してきた国での発言であればまだ判るような気がしますが、オーストラリアは最初から移民の国、混沌の国、多文化の国です。
いろいろな国からの移民がそれぞれ努力し、今のオーストラリアを作ってきたはず。
もちろん日々の生活の中でも文化や風習の違いによる不満や衝突はあります。
ですが、だからといって・・・・。
そうそう、彼女はオーストラリアの原住民アボリジニも標的にしてましたっけ。
ここまで来ると、やれやれ、という感じ。

90年代と違い、今オーストラリアは景気も安定し失業率も過去最低。
どれくらいの人たちが彼女に賛同するのか?
ある意味、とても興味深いものがあります。
今日はオーストラリアの見たくない部分をあえてご紹介しました。

今日は久しぶりの快晴です。

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