一昨日、オーストラリアへ戻りました。
今回の出張も、たくさんの皆さんとお目にかかることができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
それにしても、皆さんのオパールへの思いには頭が下がります。。。
皆さん、それぞれがご自分の感性で、オパールに名前をつけたり、遊色パターンの呼び名を考えたり、、、
そんな、夢中になっている皆さんの姿を見ているだけで、私まで幸せな気分!!
そして、もうひとつ感じたのは、オパールに関する知識が随分浸透してきたな、そんな感想でした。
テクニカルタームや、マイナーとか我々が使っている業界(?)用語的なものが、皆さんの口から“ポン”と飛び出して感無量でした。
そんな中、“ハーレクイン”という遊色パターンのお話がよく出てきましたね。
きっと、日本の小売店さんなどの間違った情報の影響もあるのでしょうが、この“ハーレクイン”の定義がいまひとつ曖昧な感じを受けました。
「これはほっとけない!」
そこで、久しぶりの更新は“ハーレクイン”の定義について、再確認をしてみたいと思います。
とても珍しく、貴重な遊色パターンとして、ブラックオパールの中でももっとも珍重される“ハーレクイン”。
希少価値が高いゆえ、もちろんなかなか目にすることもなく、そのお値段もグンと上がってしまいます。
展示会などのお手伝いをさせていただいていると、小売店さんなどが“セールストーク”、“売り文句”として、“ハーレクイン”という言葉をお使いになるのを時折耳にします。
厳密な意味でのハーレクインには及ばないようなオパールも、「これはハーレクインと言って、とっても珍しいパターンだから!!」なんて???
売りたいがためなのですが、そうしたちょっと的の外れた情報が、この希少なブラックオパールのパターンを曖昧なものにしてしまっているのかもしれません。
もともと“ハーレクイン”というのは、ピエロが着ているような格子模様のことを指す言葉で、色の種類や色調をあらわす言葉ではありません。
つまり、オパールのパターンとしての“ハーレクイン”も、
“大きさのそろった、四角、あるいはひし形の斑が、規則正しく配置されている”
そんな遊色の場合のみに、“ハーレクイン”と呼ぶことができます。
自然が作り出すオパールの遊色パターンですから、定規で測ったように、100%同じ大きさ、同じ形ということはありえません。
ですから、この定義にはある程度の余裕、誤差、のようなものが存在するのですが、それでも“ハーレクイン”と呼べるパターンには限りがあります。
上の写真、おなじみのオパールを拡大したものです。
サイズ、そして形がそろった斑、そして表情。
これこそが“ハーレクイン”と呼べるパターンです。
前述したように、色の種類などは関係ありませんので、単色(たとえば緑一色など)のハーレクインも存在しますし、このオパールのようにいろいろな色が表現される場合もあります。
もちろん単色よりは多色、珍しさには差があります。
もともと少ないパターンのうえ、オパール自体の産出量も激減してしまっていますから、ほとんど実物を目にすることは最近ではありません。
私もこれまで20年近くオパールにかかわってきて、“コレは!”と言うのに出会ったのは数えるほど、それも片手で足りてしまうくらいしかありません。
いつも思うことは、本当の意味での“ハーレクイン”を皆さんにお眼にかけたい!
でも、この思いはなかなかかないません。
私自身、もう目にすることはないかもしれません。
あるいは、明日出会うかもしれません。
これが“ハーレクイン”と呼ばれる、美しく、そして希少なオパールの現状です。
蒸し暑く、どんよりしたゴールドコーストです。