先日、地元の図書館でたまたま手に取ったこの本。
あの頃、誰もが浮かれてたあの頃、を思い出させてくれました。
舞台は80年代のゴールドコースト。
バブル景気を迎えた日本の資本が、オーストラリア、特にゴールドコーストにどっと流れ込んできた時代のお話です。
旅行先としてのオーストラリアがブームとなり、多くの日本人観光客がゴールドコーストを訪れるようになったのもこの時期。
本の中では、“Yazawa”、“Sen”、“Ohashi”にはじまり、後に逮捕されることになる“高橋治則”など、ゴールドコーストの不動産開発に登場した日本人の名前がずらっと出てきます。
そしてもちろん、忘れてならないのが大京観光の存在。
ゴールドコーストでも、そしてケアンズでも、当時、“大京観光”そして社長の“横山 修二”の名前は知らない人間がいないくらいの勢いでした。
サーファーズ・パラダイスの開発、ゴールドコーストインターナショナルホテルの建設、数々のゴルフコースの開発。
街をわがもの顔に、肩で風きり歩いていた大京の駐在員たちの姿。
大京だけでなく、様々な企業や個人投資家がもたらす円の力。
“あのホテルは~興産”、“あっちは~組”、そしてこっちは“株式会社”。
多くのホテルは日系企業に所有され、街中には日本語の看板があふれ、どんなお店にも日本人の店員さんがいた時代でした。
私がオーストラリアに来たのも、ちょうどそんな時代。
日本人として誇らしい気持ちの中にも、ちょっと異常な雰囲気を感じてました。
この本の中でも、ゴールドコーストの開発に益した日本人の役割に触れながらも、当然起こった反発も書かれています。
“オーストラリアが乗っ取られる!”
“これはゼロ戦を使わない侵略だ!!”
なんて言葉がメディアに登場し、アジア系移民を抑えようという運動が起こったのもこの時期。
確かに、日本の投資により、不動産価格が数倍に高騰し、地元住民にとってマイホーム購入が難しくなってしまったのは事実。
ですが、この日本バブルの波で大金をつかんだ地主や不動産業者がいたのも事実。
そして、この波がなければ、今のようなゴールドコーストの街並みがなかったであろう事も事実です。
今では、大京の名前を聞くこともほとんどなくなり、日系企業が持っていたホテルやリゾートも大半がその手を離れています。
毎日、わんさか日本人観光客がやってきて、“シーバスリーガルを50本ちょうだい!”なんて買い物してたあの頃。
懐かしくもあり、何かむなしくも思い出されます。
あの頃、皆さんは何をされてたのでしょうか?
今日は曇り空のゴールドコーストです。