グリーンのキレイなボルダーオパール。
眼に刺さるような強い遊色のボルダーオパール。
でも、これは売りません!
賢明なあなた様なら、私が“売らない!”理由は直ぐに見つけられたでしょう。
え、わかんない?
もう一度上の写真をよ~く見てください。
わかりました?
えぇ、わかんない?
それでは、この写真では、
そうです、矢印のところ、斜めに走る切れ目が見えますよね。
この部分のオパール層が割れてしまっています。
“クラック”とか“カン”とか呼ぶ現象です。
磨く前の原石の段階から入っているものもあれば、研磨の際に生じてしまうものもあります。
このボルダーの場合、おそらくカットの段階で生じてしまったのでしょう。
オパール層だけで、母岩の部分には何らキズもありませんので、ここから欠けてしまうということはめったに無いのですが、いずれにしろ、こうした状態のオパールをお売りすることはありません。
それでは、こうなっちゃったオパールはどうするかというと、このオパールのようにクラックがオパールの端っこの場合は、この部分を落として磨きなおします。
そうすることで、サイズはひとまわりもふたまわりも小さくなってしまいますが、新しい顔を持ったオパールとして生まれ変わります。
もし、こうしたクラックが石の真ん中に有る場合は、そこからカットしてふたつの石に磨きなおします。
はたまた、クラックが石の広い範囲に網状に広がってしまっている場合はどうするか?
そんな状態のオパールは、生成の過程、あるいは採掘の過程の何らかの原因で、割れやすいオパールです。
このようなオパールはいくら磨きなおしても生まれ変わることはありません。
またいつか再びクラックが入って割れてしまう可能性が高いため、どんなに大きいサイズ、どんなに美しい色合いでも、販売することはありません。
そんな宝石になりきれなかったオパールたちの行く末は、私のコレクションになるか、お店でお客さまがたにお見せするサンプルとなります。
「このオパールはこんなにキレイなんですが、でもクラックが入ってしまっているので、宝石としての価値は無いんですよ。」
そんな風にご説明するために使われることになるわけです。
「それじゃこれはいくらなの?」
そんな風に聞かれることもあるんですが、私の答えはいつも決まって、
「値段ありません」
となります。
「これでいいから、安く売って」
とあるアジアの人口のやたら多い国からやってくる方々は、きまってそんな風におっしゃいます。
それでも、私の答えは、
「これはお売りすることはできません!」
キッパリ、です。
さて、今日の写真のオパールは、これからどんな運命が待ち受けているのか?
よ~く考えてやらないと。。。
どんより、雲の多いゴールドコーストです。