価値判断基準 – 内包物その他 。。。

クラック

ブラックオパールの価値を決める際の基準について、これまで5回にわたってご紹介してきました。

今日はその最終回、天然ならではのマイナス点、内包物などについてお話をして締めくくりたいと思います。


これまで地色や遊色、そして形やサイズについての評価法をご紹介しました。

そうした全体的な評価にあわせて、今度はマイナス面からの減点法で価値を決めていきます。

天然の宝石には必ずしも、何らかのマイナス点、美しさの評価を引き下げる要因が存在します。

ダイヤモンドにも“クラリティ”という、内包物や傷の有無を判断する評価基準がありますが、ブラックオパールでも同じように評価をしていきます。

まずはこちら、

クラックが生じたブラックオパール

こちら、今日の最初の写真を拡大したものです。

このブラックオパール、グリーンのとても強烈なフラッシュを見せてくれる、とても美しいお品物なのですが、宝石としての価値はこのままではほとんどありません。

ご覧いただけるように、上面に深い筋が見えます。

これ実は“クラック”と呼ばれる、“割れ”なのです。

表面だけの傷であれば、軽く磨き直してやることで、宝石としての価値を取り戻せることもありますが、このオパールのように、内部の深い部分まで達してしまった傷は、この部分をカットして研磨し直すことしか方法がありません。

また、このオパールもそうですが、こうした自然のクラックを生じてしまったものは、やはり内部の安定性に問題があり、研磨し直しても同様のクラックを生じてしまうことがほとんどです。

私達は、どんなに色が美しくても、こうした天然のクラックのあるオパールをマーケットに出すことはありません。

 

ウインドウのあるブラックオパール

次に上の写真を見てください。

この写真は、同じブラックオパールを表と裏から撮影したものです。

左の表面の右半分に色の抜けている部分があります。これは“Window ウインドウ”と呼ばれ、ブラックオパールの評価を下げる大きな原因のひとつです。

文字通り、その部分だけ窓のような、透明な部分、色が無い部分で、これはオパール層の不安定さやポッチ、原石とのバランスがよくない場合見られるもので、ブラックオパールの価値を著しく低下させてしまいます。

 

次に数百万年という長い年月をかけて創造されるオパールに、何らかの原因で取り込まれた、さまざまな“内包物”、ゴミがあります。

そんなゴミの存在は、やはり価値を下げてしまう要因になります。

砂を含んだブラックオパール

一番多い内包物は、この写真のような“砂”や“石膏”です。

 

ポッチを含んだブラックオパール

この表面に雲のように広がっているのは“Potch ポッチ”と呼ばれる、ブラックオパールの原石や色の出ないオパールです。

 

ポッチライン

 また、こちらは“Potch Line ポッチライン”と呼び、先ほどのポッチが糸状になってオパール層に入り込んでいる状態です。

これらいずれの場合も、表面から見えない裏面などに存在する場合は、オパールの価値に影響を与えることはありません。

ですが、やはり写真のように宝石面に入り込み、その表情に影響を与えている場合は、オパールの価値を低くしてしまいます。

まれにですが、ポッチラインのような内包物が独特の表情、個性をそのオパールにもたらしてくれる場合、プラスの要素となることもあります。

 

もちろんこうした内包物など無い方が良いに決まってはいるのですが、ほくろの無い人間がいないのと同様に、天然のオパールの場合、必ずと言って良いくらい何らかのマイナス点が存在します。

逆に言えば、こうしたほくろのようなマイナス点こそが、天然の証なのです(時おり、ほくろもプラス点になる場合があること、お忘れになりませぬように)。

 

さて、これでブラックオパールの価値判断基準についてのお話はお終いです。

他の宝石とは違う多様性、個性は、ブラックオパールの統一的な価値判断を困難にしています。

同じものがふたつとしてないブラックオパール。

お好みは人それぞれです。

 

 

秋空のゴールドコーストです。


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