採掘されたオパール原石
それを宝石として磨き上げる人たち
“ Cutter・カッター ” と呼ばれる人たちのお話です。
採掘されたままの原石の状態では、どんな宝石も、その隠れた魅力をすべて見せてはくれません。
最適の大きさにカットし、一番美しい状態に磨いてやることが、100%その美しさを引き出してやるためには必要です。
この研磨をする彼ら、彼女たち、いわゆる“ カッター ” たちの腕によって、ひょっとしたら80%しか引き出せないかもしれませんし、90%かもしれません。
数百万年の時を経て生み出されたオパールを、最高の状態で宝石としてお届けするには、カッターたちの腕は、とても重要な要素です。
同じオパールでも、ブラックオパールとボルダーオパールとでは、その研磨法や過程が若干違います。
ボルダーオパールの場合、このボルダーと呼ばれる原石自体が大きく、重量もあるために、このままの状態で運ぶのは経済的ではありません。
また、実際どれほどのオパールを含み、どれくらいの価値があるのか、つまりいくらで売れるのかを、採掘されたそのままの状態で把握することが難しいため、採掘したマイナーによる大まかな切り出し作業が行われます。
写真のような、ダイヤモンドカッターで、採掘されたボルダーを、切断していきます。
表面に露出しているオパール層を参考に、できるだけオパールを残せるよう、傷つけぬように、慎重に切り出していきます。
一方ブラックオパールの場合は、採掘される原石自体が小さく、重さもそれほどなく、また、その価値がボルダーオパールに比較すると容易に把握できるために、ちょっと違った取り扱い方をされます。
もちろん、採掘した鉱夫自体が研磨までする場合も多くありますが、原石のまま売り買いされて、採掘地から遠く離れた場所で研磨されることも多くなります。
ちなみに、上の写真のように、採掘された状態そのままの原石を “ ROUGH (ラフ) ”
宝石面を切り出したものを “ RUB (ラブ) ”と呼びます。
カッターたちは、さまざまな機械、のこぎりや研磨機、を駆使して、そのオパールが最高の状態になるよう、時には大胆に、時には繊細に、そして時には信念のまま、作業を進めていきます。
大きな原石からラブへ、そして少しずつカット、研磨を繰り返しながら、一番美しく色を見せてくれる面を磨きだして行きます。
少しでも気を抜いたり、ちょっと欲を出し過ぎると、数百万年も、マイナーたちの汗も、すべてが一瞬で消滅してしまうことも!?
「もうちょっと磨くか?」
「もう一皮取るか?」
その判断は、そのオパールが採掘されたエリアの特徴と、長年の経験、そして見抜く“ 眼 ”がそろってできる、これもカッターたちの技、腕、技術です。
カッターたちは、自らがマイナーから原石を仕入れて磨く場合と、他から原石を預けられて磨く場合とがあります。
前者は、磨き上げたオパールを販売することによりお金を得、後者の場合は磨く作業に対する対価として収入を得ます。
もちろん、腕の良いカッターに研磨をしてもらうためには、その対価も高額になってくるのは当然で、そうした評判の良いカッターたちは、自分で原石を仕入れるというリスクを取ることなく、大きな収入を得ることができるわけです。
他の多くの宝石のように、ファセットカットされることの少ないオパール
いかにバランス良く磨いて行くかだけでなく、遊色の方向や状態も考えながら進めなければならないオパール。
ここにも独特の技術、技があります。
風が強く、荒れ模様のゴールドコーストです。