皆さんご存知のマトリックスタイプのボルダーオパールです。
今日はこのマトリックスタイプのオパールに、新しいタイプのものがあること、ご紹介しちゃいます。
Hydrophane 憶えてますか?
忘れちゃった方、聞いたこともない方はこちら ハイドロフェンオパール
水分を取り込む性質をハイドロフェン、その性質をもつものをハイドロフェンオパールと呼びます。
以前ご紹介した通り、主にエチオピア産オパールに見られる特徴で、オーストラリア産でこの性質を持つオパールはほとんど知られていませんでした。
これはエチオピア産オパールを使い撮影した動画です。
徐々に水分を吸い込み、透明になっていく様子がわかっていただけるかと思います。
色が無くなってしまう。
これが典型的なハイドロフェンオパールの変化です。
これまで、オーストラリア産オパールにはこの性質は無いと思われてきました。
私自身も、そのように考えていました。
数年前のこと、オーストラリア産オパールでも、それもボルダーオパールで、この性質を持つものがあるという噂を風の便りに聞きました。
半信半疑ながらも「もしあるのなら見てみたいなぁ」と漠然と考え、それ以来磨きあがったボルダーオパールを、洗浄もかねて水に浸けてみたりもしましたが、残念ながら出会うことはできずに2017年も終了。
もはやその噂も否定的なものと思い込んでいました。
ところが、、、
出会ったんです!
2018年始まってすぐに!!
オーストラリアからIJT(国際宝飾展)参加のために来日していた、オパール業界の BIG NAME、大先輩の彼と話をしていた時に、
「ウイントン産のマトリックスで、たまにハイドロフェンあるよ」
そんな一言が!!!
そうと聞いちゃ放っておけない。
さっそく彼から40ピースほど譲り受け、オフィスに持ち帰って実験開始。
その結果、譲り受けたもののうち、10ピース程で色の変化を見ることが!
左が水分に着ける前。
そして右が10分ほど付けた後です。
一番わかりやすいのは右下のオパール。
白っぽいマトリックスの部分、遊色の無いコモンオパールと呼ばれるオパールが、水に浸けると綺麗なグリーンの遊色を見せてくれるように!
こちらも、白いコモンオパールが水分に浸けるとブルーの遊色が!
大先輩も言っていました。
「エチオピアのハイドロフェンは色なくなっちゃうけど、このオーストラリア産は色が出てくるんだよ」
動画でも確認してみましょう。
水を注ぐと、マトリックスのオパール部分から細かな泡が吹き出し、2分程で色が見えてきます。
確かに水分を取り込んでいるようです。
さて、この現象は、エチオピア産オパールと同じものなのか?
オパール自体が水分を取り込んでいるのか?
マトリックスタイプではないボルダーオパールやブラックオパールに、このハイドロフェンが見られないことを考慮してみると、別の可能性も考えることができます。
オパール自体ではなく、入り組んだオパールと母岩の隙間に水分が入っていているのかも。
本来マトリックスタイプのオパールには、空隙や亀裂が入り込んでいることがあります。
オパールと母岩の間に存在する微細な隙間に水が入り込み、その水分が光の回析を変化させた結果、色が変化するのかもしれません。。。
紹介してくれたのが大先輩ですから、何らかの処理を施されているとは考えられません。
一方、こんな性質を持つマトリックスについて、他のマイナーや関係者から聞いたこともない。
確実な理由を確かめることは、今の私にはできません。
ですが、ハイドロフェンを見せてくれるマトリックスオパールの存在は間違いのないことのようです。
「カメレオンオパールなんて呼んだりするんだ」
大先輩はそんなことも言っておりました。
でも、カメレオンオパールという呼び名は、以前より色変わりの大きなインドネシア産やエチオピア産オパールを指すことが多かったので、、、
私は、!
「スノーホワイトマトリックス」
そんな風に呼ばせていただきます。
先日のドカ雪の想い出に影響されつつ、母岩の間を走る雪のようなオパール。
そして、水分を含むことにより、鮮やかなグリーンやブルーに。
「雪が解けて川になって、、、」
緑が芽吹く春の訪れ。
ちょっとコジツケ気味です。。。
皆さんなら、どんな呼び名を着けますか?
ハイドロフェンマトリックスについて、何か情報が入りましたら、またご紹介しますね。
今日はここまで。
寒い寒い*****