オパールのお好きなあなたなら耳にしたことあるのでは?
Mintabie ミンタビ
このミンタビがなくなる可能性が高くなってきました。。。
南オーストラリア州にあるこの町、Lightning Ridge や Coober Pedy ほど有名でも観光地化もしていませんが、それでも歴史あるオパール産地のひとつです。
Coober Pedy のホワイトオパールよりも地色の深い、‘ ミンタビ・ブラック ’ などと呼ばれる独特の表情を持つオパールが採掘さます。
1900年台初頭から、ミンタビ産オパールは市場に出回っていたようですが、本格的な採掘がはじまったのは、ブルトーザーやショベルカーなどの機器が導入される1980年代でした。
オパールの採掘量も減少した現在では、約60人の人々が住む、お決まりの細々タウンのミンタビ
昨年、州政府がこの町の閉鎖を決めたのです。
そう閉鎖です。
人口が減少し高齢化したから自然に消滅するのとは違い、町自体をなくし住民を強制的に移動させる、まさに閉鎖です。
現代の民主主義の国とはおもえないこの決定、日本では考えられないいろいろな背景があるんです。
ご存じのとおり、大英帝国の犯罪者流刑地として始まったオーストラリアですが、それ以前にもアボリジニの人達、そう原住民はこの大地で生活していました。
アボリジニたちに、国民としての権利を1960年代まで与えず冷遇してきたオーストラリア。
その反省もあり、オーストラリア政府はここ30年ほど、原住民族としてのアボリジニの権利回復を進めてきました。
土地をアボリジニの人々に返す、というのもその権利回復のひとつ。
オーストラリアの内陸部には、こうしてアボリジニの管理下に返還された土地がたくさんあり、その中にはオパールの採掘されるエリアも多く入っています。
このミンタビも、こうした土地のひとつで、1980年代初頭からは、逆に南オーストラリア州政府に貸し出されていました。
つまり、原住民が地主(APY Lands)で、州政府はそれを借りている状態が現在まで続いているのです。
そしてここで暮らすには、あるいはオパール採掘やあらゆる経済活動をするためには、州政府の発行するライセンスが必要なのです。
毎年更新が必要なこのライセンスがないことには、基本的に何もできないことになります。
昨年の6月、州政府がこの土地の管理を APY Lands に返却することを計画していると発表したのが、今回の終わりの始まりでした。
今年に入り、州政府は正式に2019年7月1日に返還すると発表したのです。
理由は、あまりにも悪化した治安でした。
家や車に対する放火
女性宅に侵入しての暴行
学校や住宅への侵入
その他、お決まりの麻薬やアルコール問題などなど、原住民にも悪影響を与える悪行が横行しているのが、今回の決定の大きな理由と発表したのです。
州政府の政権交代もあり、前政府の決定が覆るとの期待もありましたが、新政府も基本的には決定を支持すると発表しています。
オパールマイナーはもちろん、ミンタビ住民たちは当然不満の声をあげています。
こうした決定は、州政府と土地の本来の持ち主とされる APY Lands との間だけで進められ、住民には一切説明も意見を述べる場もなかったとのこと。
あまりにも非民主的なやり方。
驚きです。
マイナー達は、オパールを採掘するために採掘権を取得しているだけでなく、様々な機械機材を用意し、住環境を整え、、、
そうしたものを全て無駄にしなければならないのか?
もともと、州政府が与えてくれるインフラなどなく、ほとんどない辺境の土地。
多くのオパール鉱山同様、常駐する警官すらいません。
犯罪やドラッグは、なにもミンタビだけの問題ではないはず。
ミンタビを閉鎖しても、そうした悪事を働く人間が別の土地へ移動するだけで、根本的な問題の解決にはならない。
そんな住民たちの声ももっともです。
先月になり、州政府は新たに声明を発表しました。
“管理は州政府からAPY Landsに移るが、これは町が消滅するということではない”
“返還後も住み続けたいのであれば、APY Landsに直接許可を求めれば良いだけである”
ちょっと責任放棄にしか聞こえないのは、私だけでしょうか?
どのような結果になるにしろ、来年の7月以降、ミンタビでの採掘環境に大きな影響を及ぼすのは間違いなさそうです。
ミンタビ産オパール、、、なくなってしまうのか?
オパール採掘と州政府。
オパール採掘と牧畜業者。
オパール採掘と原住民。
いつも問題を抱えている、水と油のような関係です。
今日は、長くなってしまいましたが、オーストラリア産オパールの抱える問題のひとつ、ご紹介しました。
夕立空模様の埼玉です。
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