2020年を迎え、日本はオリンピックの話題で持ちきりですが、オーストラリアでは依然山火事が終息を見ることができません。
上のマップはMyFireWatchが発表している情報です。
過去72時間で発生している山火事の状況です。
一時期に比べると、随分と真っ赤な地点は減ったように見えますが、それでも東海岸で大規模な火災が続いています。
40度を超える記録的な気温の中、たくさんの消防士たちはクリスマスも正月も休むことなく、消火活動にあたっています。
これまでの消失面積は約400万ヘクタールだそうで、これは関東1都6県の面積 1.2倍以上にも及びます。
10人以上の人命と2000棟に近い数の家屋が失われ、また、コアラを含めた野生生物も約5億匹が今回の山火事で命を落としてしまったとの報告もあります。
上の地図を見て、
「なんだ海岸線の一部だけじゃん」
と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、元来、オーストラリア内陸部は人間にとっても野生生物にとっても過酷な環境です。
人間をはじめ、多くの動植物の生活圏、生息圏が海岸線付近のエリアに集中しているのです。
今回の山火事も、いつかは鎮火するでしょう。
でも、受けたダメージが回復するまでには、はるかに長い時が必要です。
そして、
以前お伝えした Mintabieのお話し。
オーストラリア、サウスオーストラリア州の北部に位置する、オパール鉱山の町。
2018年にお伝えした後、住民たちが訴えを起こしたり州の決定を覆す試みを行ってきましたが、6カ月の猶予を得られたのみで、結局 Mintabieという町は、2019年12月31日をもって、行政単位としての存在を失いました。
オーストラリアの地図上から、町は消されてしまったのです。
オパール採掘に従事してきた人たちをはじめ、20人ほどの住人は立ち退きを求められています。
残念ながら、土地の持ち主である原住民 APY Lands側は、住民たちのこれ以降の居住を認めない意向のようです。
20名ほどとはいえ、高齢の方が多い住民たちは、この真夏の気候の中、これまで築いてきた全てを残し、住み慣れない土地へ引っ越すことを求められています。
こうした現在の状況を鑑みるに、独特の表情を楽しませてくれてきた「Mintabie Opal」は、マーケットから消えて行ってしまうと思われます。
ライトニングリッジ産とは違う、それでも濃い地色を帯びた美しい姿は「Mintabie Black」と呼ばれ、人々の眼を楽しませてくれてきました。
たいへん硬い砂岩の中にオパールが形成されることで、しっかりとした地色と美しい遊色を見せてくれます。
残念ながら、私の手元にはこの写真のものを含めた2点しか残っていません。
今後は、これまで以上に入手することが難しくなってくること確実です。
山火事、ブッシュファイヤーと消滅してしまった町に住んでいた人たち。
2020年の年明けは、決してHappyではありません。
年明け早々、良いニュースではありませんが、どうぞこうした場所や人、そして生物たちにも思いを寄せてあげてください。
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