宝石に関わるようになり、今年で34年になります。
ワーホリ(ワーキングホリデイ)のアルバイトで始まり、いろいろな宝石に関わるようになり、” 宝石商 ”と呼ばれる仕事へと、活動の内容は変化してきました。
自身、60歳を過ぎた今、若いころと同じようには行かないことも多々あります。
物忘れが多くなった
集中力が続かなくなった
タイピングのミスが多くなった
そして、視力の衰え、、、
ですが、体力的には大きく変化しても、この “ 宝石商 ” という仕事に対する姿勢や熱意は変わりません。
この仕事のやりがいのひとつは、皆さんの人生に参加することが出来るところ。
皆さんの人生の大きなイベントのお手伝いをさせていただけるところです。
プロポーズや結婚式に向けての、宝石商として出来ることをはじめ、ご家族の思い出がいっぱい詰まったジュエリーを、次の世代に受け継ぐためのお手伝い。
それだけではありません。
皆さんの人生の節目に関われる、そんなお仕事ができる現状に、ここ数年、特に満足感とやりがいを感じます。
今年もこんなことがありました。
初めてお目にかかってから2年ほどのご夫婦。
ご主人がいつも奥さまへのプレゼントに、進んで宝石をお選びいただきジュエリーへと製作をご依頼いただいておりました。
今年も、イベントの会場へおふたりでお越しいただき、ご主人の意見も取り入れつつ奥さまにオパールをお選びいただきました。
イベント後にリングのデザインをご提案、お決めいただき製作を始めてから約2か月、素敵なジュエリーが完成。
いつも通り、メールで完成のご連絡をすること数回、しばらくお返事がなく、私たちの中にも不安と心配の気持ちが浮かび上がってきた、そうひと月ほど後の事でしょうか。
電話にてご連絡をさせていただきました。
電話越しに、奥さまにリング完成をお伝えすると、一時の沈黙が。
お話をお聞きすると、半月ほど前にご主人がご病気で亡くなったとのこと。
想像もしなかったことに、私自身も言葉が出てきませんでした。
お目にかかった際も、少し体調を崩されているようなご様子ではありましたが、まさか。
そして、「間に合わなかった」の気持ち。
涙混じりの奥さまからのお言葉。
「きっと本人もわかっていて、最後のプレゼントをしたかったんですね」
ただただ気持ちをお伝えすることしかできず、いったん電話を終了。
その後、息子さんからもお電話をいただき、あらためて完成したリングをお届けすることに。
無事リングを受取られた奥さまから、お電話をいただいたのは3日後の事でした。
やはり涙声の奥には、ご主人への思いと、一緒に過ごされた数々の思い出があったと思います。
奥さまから頂いた感謝のお気持ち。
ご主人さまとご一緒というわけにはいきませんが、またイベントにはお顔を見せに来ていただけるとのひと言。
悲しい出来事ですが、これからもご主人の思い出として、ずっと奥さまに身に着けていただけるジュエリーをお届けできたこと。
胸に湧き上がるものがありました。
人生はいろいろです。
そこに少しでも寄り添ったり、お手伝いが出来たり、携わることができる “ 宝石商 ” という仕事。
誇りに思います。
これからも、単に商売だけでない、皆さんとの触れ合いができれば。
そんな風に思いを新たにしました。
さて、今週は名古屋へお邪魔します。
長年のお付き合いをいただいている方々との再会、そして新たな出会いも楽しみにお邪魔させていただきます。
名古屋栄ミネラルマルシェ(https://www.gemstory.com/mineral-show.html)
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