鉱夫の苦汁。。。

年輪

きのうオフィスにやって来た年老いた足の不自由な鉱夫。
そんな彼のお話です。
※画像は文章の内容とはまったく関係ありません。


以前のエントリーでもご紹介しましたが、いろいろな人がオパールを売りにやって来ます。
きのうもひとり、イタリア系と思われる男性が突然やってきたのはお昼時のこと。


・・・・・・・・ 実際は英語での会話です ・・・・・・・・
イタリア系男性(Aとします):オパール売りたいんだけど、興味ある?
私(Gとします):どんな種類のオパール?
A:どんなオパールでも、買うのに興味があるの無いの?(ちょっと強気)
とりあえず見てくれればいいよ。
G:今持ってるの?(荷物も何も持っていない、手ぶらだったので)
A:持ってるよ。
G:じゃあ見てみるからオフィスに入って。
A:いやいや、持ってくるから5分待って。
G:(なんだやっぱり持ってないんじゃん)わかった。


手ぶらで売りに来るような人は、ほとんどの場合どこかで盗んできたのか、拾ってきたのか、そんなオパールを1,2個ポケットに入れてくるような、そんな人達なので、経験的に避けることにしています。
5分も経たずに帰ってきたA。
今度は足が不自由らしく、杖をついたかなり高齢な男性と一緒でした。
A:彼は従兄弟(Bとします)で、ライトニングリッジでオパールを掘ってるんだ。
どうやらAはゴールドコーストに住んでいて、その老人Bが実際にライトニングリッジで採掘をやっている(いた?)ようでした。
お互い自己紹介をし握手を交わしてさっそく見せてもらうことに。
G:(Bに向かって)ご自分で掘ってるんですか?研磨もご自分で?
初めての相手にはとにかくいろいろなことを聞くことにしています。
B:なんでも自分でやってるよ。
G:最近は採掘もたいへんでしょう。じゃあとりあえず見せて。
Bがバッグから取り出した20ピースほどのオパール。パッと見ただけで、とても白っぽくて薄く、将来的に割れるようなものばかり。そして、ついている値段がビックリするような高値。買う気になるような品質と価格のバランスの範囲外。
G:残念だけど、ちょっとうちの品筋じゃないな。せっかくだから買いたいけど、ちょっと無理。どれも白すぎて、ブラックオパールにはならないよね。
B:でもライトニングリッジで採掘したブラックオパールだよ。(ちょっと興奮気味)
G:もう少し質の良いものはないですか?
B:もっと地色が濃い、ノビーってこと?
G:そう。
B:フン(鼻で笑ってます)。


結局売れないと思ったのでしょう、AとBの2人はショールームに展示してあるオパールを眺めて一言。
B:安すぎんじゃないの。
オイオイ、売りに来た人が言うセリフじゃないよ、と思いつつ、2人を出口まで見送り、
G:また機会があったら持ってきてください。
B:もう来ないよ。時間の無駄。(かなり憤慨の様子)
G:・・・・・・・・・・・・・。


最後の捨てゼリフに普通ならカチンと来る私なのですが、その老人を見ていてなにか悲しくなってしまい、なにも言わずにオフィスに引き返しました。
おそらくその老人は本当にオパールを掘っていた鉱夫でしょう。
英語の訛りからすると、どこかからの移民で、長い間いろいろな経験をしてこれまでやってきたのでしょう。
きっと良い時代も過ごしてきたでしょう。
足が不自由なのも、採掘中の事故かもしれません。
事故が原因で自分で採掘することもままならず、仕方なく低品質のものをどこかから手に入れ、ほそぼそと磨いては売りに歩いてるのかもしれません。

そんな彼の人生を想像してしまった、そんなひと時でした。

でも本当はものすごいお金持ちの可能性も・・・・。
身なりや雰囲気からは想像できない、そんな大金持ちが鉱夫の中にはいますからね。

今日も暑いゴールドコーストです。

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