今日は“Australia Day Holiday”。いわゆる建国記念日。
真っ青に晴れ渡った空の下、いろいろなイベントが開催され、国中が浮かれモードです。
今から220年前の1788年1月26日、大英帝国の船団がシドニーに上陸し、ここオーストラリアを領有することを一方的に宣言した、そんな歴史的な日です。
オーストラリアという国が誕生した日には間違いありませんが、それ以前から暮らしていたアボリジニの人々にとってはまさに青天の霹靂。彼らの新しい、そしてあまり喜ばしくはない、歴史の始まりの日でもあります。
そんなAustralia Dayのイベントには、市民権の授与式も含まれ、新しくオーストラリア国籍を取得し、国民となった人たちのお祝いの式が開催されます。
新しい国民の中には、イギリスをはじめとする国々からやって来たヨーロッパ系、アフリカ系、そしてもちろん多くのアジア系と、様々な人種、民族がいます。
文化も習慣も、そして肌の色も違うこうした人々に共通するただひとつの事は、このオーストラリアという国に対する、そしてこの国に暮らす自分達の未来に対する、大きな希望ではないでしょうか?
“A fair go for all (皆に平等なチャンスを)” を国のスローガンのひとつに掲げている移民国家オーストラリア。
でも、現実はそれほど Fair (平等)なものではありません。
アジア系移民やアフリカ系の移民が増えることを恐れる、ヨーロッパ系の国民たち。
それを扇動する差別主義者。
民族間の争いや、社会的な差別。
法律でいくら理想的な言葉を並べていても、今のところ数的に優位なヨーロッパ系国民の中には、アジアやアフリカ系国民を見下す人も少なからずいることは確かです。
郊外や地方の町に出たときに感じる視線。
いかにも自分たちのほうが優れているんだ、教えてやってるんだ、という態度で接してくる人。
こちらの顔を見たとたん、態度が変わる人。
親しく付き合っていても、お酒が入ると一変して態度の変わる人。
生活の中でそんな風に感じることもあります。
昨日、弊社スタッフのM嬢の経験したこと。
走ってくる車の中からすれ違いざまに浴びせられた罵声。
「Go Home!(帰れ!)」
「Go Back to Your Country (自分の国へ帰れ!!)」
オーストラリアに暮らすアジア系の人であれば一度は経験することです。
(ほぼ)単一民族国家である日本。
もし、大量の移民を受け入れた場合にやはり精神的な差別は生まれてくるでしょう。
でも、たかだか200年ほどの歴史しか持たないオーストラリア。
車の中から罵声をはいた本人だって、祖父母、ひょっとしたら父母の代に移民してきた家族に間違いありません。
それでも、オーストラリアは自分たちヨーロッパ系(いわゆる白人)の国である、と思い込んでいる彼らの差別意識がそんな言葉を吐かせるのです。
アジア系やアフリカ系の国民が増え、数的にヨーロッパ系と同等になった時、そしてヨーロッパ系出身ではない首相が誕生した時、そんな時がオーストラリアの将来を決めるポイントになっていくのでしょう。
こんなに素晴らしい自然、こんなに大きな国土、そして豊かな資源を持つオーストラリア。
お互いを認め合える、そんな大きな心を持った国民の暮らす豊かなオーストラリアになってほしい。
そんなことを建国記念にあたり思いました。
今日も快晴です。暑いです。