オパールの賢い選び方 (パート1)

ここでは、オパール、特にブラックオパール、ボルダーオパールの選び方、そして天然オパールと人工オパールの見分け方について、7つのポイントに分けてそれぞれお話ししていこうと思います。 また、オーストラリアに来られてオパールをご購入される際のポイントも3点ほどあげてみました。 少しでも皆さんの参考になればと思います。

  • ポイント1  まずは店を選ぶ
  • ポイント2  販売員で選ぶ
  • ポイント3  比べる
  • ポイント4  裏を見る
  • ポイント5  横を見る
  • ポイント6  自然光でみる
  • ポイント7  ルースの状態で見る

ポイント1  まずは店を選ぶ

電気製品などは同じメーカーの、同じ機種であればほぼその性能は等しいと判断することが出来ます。ですから、あとは値段で店を選ぶということも可能です。しかし宝石の場合、ひとつひとつがまったく違うものと考えねばなりません。よほど宝石を見る目に自信のある方は別ですが、なかなか皆さんがご自分で判断するのは難しいと思います。ダイヤモンドのようにある程度その大きさ、質で値段がコントロールされているものであれば、まだ値段のみで判断することも可能かもしれません(これも結構難しいとは思いますが)。その一方、オパールやその他の貴石のように、価値の判断基準が明確でないものについては、やはりそのお店をひとつの価値判断の基準にしなければならないと思います。つまり、宝石を選ぶ場合はまずは店を選んでくださいということです。

それではどのようにして店を選べばよいのか、そこがポイントになってきます。店構えが立派とか、大きなチェーン店であるとかはこの際忘れてください。街の小さな宝石屋さんでも、実際に宝石の好きなオーナーが自分の目で選び、適正な価格を付け、本当にお客様に喜ばれている、そんなお店を私もたくさん知っています。はじめに例としてあげた電気屋さんのように大量仕入、ディスカウント販売という図式は宝石には当てはまりません。

店選びの第一のポイントは、宝石の陳列です。宝石に埃はかぶってませんか? 粗雑な陳列の仕方はされてませんか? たとえきれいなディスプレイ道具を使っていなくても、よいお店というのは陳列されている商品ひとつひとつが充分に手入れされているものです。

第二に、「~セール実施中」や、「~%割引」などの値引きに関するようなサイン、表示があまりにも多いお店は避けるべきでしょう。特に、一年中セールをやっているかのように薄汚れたサインや、ディスプレイには注意が必要です。こうしたお店は、要するに値引き幅を武器に販売していくようなやり方、つまり量販店やディスカウントストアのやり方でしか出来ないようなお店です。最初からお土産用や、アクセサリー感覚でお探しならばこうしたお店の企画品、セール品というのもよいかも知れませんが、ご自分のために、間違いのないものを探そうとお思いでしたら、やはり避けるべきでしょう。

ポイント2  販売員で選ぶ

前述の店選びとも深い関係があると思いますが、お店の店員さん、販売員さんとの話の中で判断することも重要です。一番大事な点は、その販売員がきちんとした知識を持っているか、正しいアドバイスをしてくれるか、ただ値段のみ、あるいは値引きのみで売り急ごうとしていないか、このあたりにあると思います。
宝石に関する知識のない販売員さんほど値引きの話がお好きなようです。皆さんが探している宝石は、これから長く楽しむためのもので、使い捨て、壊れたらゴミ箱へなんてものではありませんよね。その宝石の知識、お手入れの方法などをきちんと説明できるかどうか、単に「お客様にお似合いですよ」だけを繰り返す販売員さんは避けるべきでしょう。

また宝石の取り扱い方を注意して見てください。やはり粗雑に扱う販売員さんは宝石に対する思いやりの心がなく、本当の価値がわかっていない人だと思います。

ポイント3  比べる

いくつかの商品を見比べること、これも大事なことです。最低でも3点ほどを見比べ、それぞれの価値の違いをじっくり説明してもらい、ご自分でも見極めてください。そうした比較で、その基準を説明できないような販売員さんはやはり避けたほうがよいかもしれません。そしてそれぞれの石の持つ長所、短所をご自分で把握することも大事です。出来れば、同じ種類の宝石でご自分の予算よりずっと高価なものをまず見て、それと予算内の商品を見比べ、その違いを販売員さんに聞き、納得できれば 、見る目も自然に養われていくはずです。

ポイント4  裏を見る

オパールを選ぶ場合、ショウケースのガラス越しに眺めていただけでは本当の色を見分けるのは難しいものです。必ず手にとって見るようにしましょう。手に取り、いろいろな角度からオパールを見ることによって遊色効果を見てください。そのドラマチックな色の変わり具合をまずは楽しんでいただいたら、次はひっくり返して裏から見てください。指輪などになっている場合でも充分裏を見ることはできると思います。もし裏が金やプラチナでふさがれた加工がなされていた場合、その理由を販売員さんに聞いてみてください。普通、天然のオパールは裏をふさいで加工することはめったにありません。つまりふさがれているものはほとんどが、人工的に作った加工品、張りもののオパールということになります。しかし天然のオパールでもふさぐことは100%無いわけではありませんので、その辺をじっくり質問してみてください。

ブラックオパールやボルダーオパールの場合、他の宝石と違い、表面の色や遊色に影響がなければ裏側の状態はあまり重視されることはありません。ブラックオパールの場合は砂が残っていることが多くありますし、裏の母岩にくぼみがあったりすることもそれほど珍しいことではありません。ただ、その裏面の状態が表面の色へ影響していないか、していればどの程度かを確認してください。

ポイント5  横を見る

次に石を光にかざして横から見てください。横から見ることで張り合わせのオパールを見分けることが出来ます。

張り合わせオパールダブレットオパール

上のふたつの写真はやはり同じ石を表面と横から写したものです。左はまったく天然のブラックオパールと変わりありませんが、右の写真を見てください。何か気が付きましたでしょうか?
そう、黒い母岩の部分と、色の出ているオパールの部分の境目が不自然にはっきりしすぎています。これは張り合わせのオパール、"ダブレットオパール"と呼ばれるものです。石の右半分(右の写真で)は天然のホワイトオパールですが、左半分は黒いプラスチック(あるいはオニキス)で、それを接着剤で張り合わせている加工品です。ホワイトオパールを使って、ブラックオパールの色を出すために作られているもので、天然のブラックオパールとはその価値に雲泥の差があります。アクセサリーとして、あるいはお土産用として、納得の上でご購入される場合には問題はありませんが、天然石と勘違いして(あるいはだまされて)購入されて、あとで悲しい思いをされることの無いよう注意してください

ダブレットオパールトリプレットオパール

上の図は張り合わせのオパールを簡単にイラストにしたものです。青色の部分が天然のホワイトオパール、黒い部分はプラスチック、あるいはオニキスです。ダブレット、トリプレットともに、ホワイトオパールを接着剤でプラスチックと張り合わせて作った加工品です。
前述しましたようにきれいな色を、安価に手に入れることが出来るのでアクセサリーとしては良いかもしれませんが、宝石的価値は非常に低くなります。また、接着剤を使っているため、水の中に浸けておくと接着面に水が入り込み、接着剤が曇ってしまい、色がなくなってしまうこともあります。
これら加工品オパールを天然と偽って販売する、ということは以前ほどひどくはないようですが、それでも、あえてそのことを説明せずに販売している例は今でもあるようです。特にオーストラリアに来られて、現地の宝石店でオパールを購入される場合は注意が必要です。

2006年頃より、より巧妙に天然石を真似たダブレットも出回り始めました。

人工オパールダブレットオパール

これまでは、左の写真のように境目が直線でしたが、右の写真のように接着面を曲線にして、見かけをより天然に近くしたものが売り出されています。充分な注意をお願いします。

ポイント6  自然光でみる

なにも、オパールを店の外に持ち出して見ることをおすすめするわけではありません。もちろん可能であれば太陽光線のもとで見ることもとても大事ではありますが。
普通宝石を店内で見る場合、強い人工照明の下でがほとんどの場合だと思います。オパールはその光の性質(波長等)で色が変化したり、表情が変わってきたりします。ですから店内の照明の下で見るだけではなく、蛍光灯の下で見たり、自然光の下で見たり、手で光をかざしてみたり、いろいろな状況でオパールを見ることで、その石の持つ意外な一面がわかってくると思います。

ポイント7  ルースの状態で見る

前のページでお話したように、オパールは後ろからも、横からも観察することがとても大切です。指輪など枠にセッティングされていると、なかなか全てを見ることが難しくなってきます。もちろんセッティングされているからダメということではありません。セッティングされている場合でも、いろいろな角度から観察し、わからないところは販売員さんに聞いてみることが大切です。
ルース(裸石)の状態で見ることによって、その宝石の性格、良い点も悪い点もわかってくるはずです。

ここまで七つのポイントをあげて、簡単な選び方をお話してきました。あまりこれらにこだわってしまうのも考えものですが、信頼できるお店、販売員さんが見つかったら、じっくり説明を聞きながら、ご自分のお好みに合ったオパールを探してください。皆さんと波長の合う、お互い惹きつけ合うオパールがあるはずです。

次に、オーストラリアにご旅行する機会があって、そこでオパールをお求めになる時のポイントを3点ほどお話したいと思います。

それでは、次のページへどうぞ。

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