男性の方によくいただくご質問です。日本の宝飾店の一部で、宝石を投資対象としてしきりに売り込んでいるところがありますから、こういった質問も仕方ないと思います。『宝石』全般として考えると、答えは“NO”です。 株のように短期間での値段の上昇は考えられず、まして一般の方が、宝石の適正価格を判断するのは難しいと思います。しかし、ブラックオパールのように希少性がごく高い宝石や、きわめて高品質、あるいは大きい宝石に関しては、答えは“YES”といえるかもしれません。実際、アメリカなどではブラックオパールを長期間の投資対象として、ある種の年金組合などが購入しているという話も耳にしたことがあります。また、ヨーロッパやアメリカでは、宝飾品のアンティーク市場はかなり大きく、アールヌーボー時代の宝飾品が高値で取引されたりもしています(この場合は宝石というよりは、そのデザイン、宝飾品トータルとしてですが)。車や電化製品のように使ってしまえば中古品としか見られない商品と違い、宝石はもとの輝きを保持していれば中古品にはなりません。そういった意味では、投資の対象といえるかもしれませんね。でも、これは付録みたいなものと考え、まずはその美しさを楽しむこと、そしてそれを次世代に受け継いでいくことで楽しみをも受け継いでいく、こんな考え方で良いんではないでしょうか。
オパールについて、一番良く聞かれるのがこの質問です。本文『初級編』でもお話しましたが、決して皆さんが思ってらっしゃるような弱さではありません。硬度(モース硬度)で比較すると、ダイヤモンドは10、サファイア・ルビーは9、エメラルドは6.5~7.5、そしてオパールは5.5~6.5です。同じオパールでも、メキシコ産の水分量が多い(約12%)種類は5.5、一方、ブラックやボルダーのように水分量が少ない(5~6%)種類は6.5とされています。ちなみに真珠やサンゴは3.5です。ダイヤモンドやサファイア等と比べると確かに傷は付きやすいですが、あたかも割れやすいように考えられているのは間違いです。『劈開性(へきかいせい)』という宝石の性質を表す言葉があります。ダイヤモンドは『完全な劈開』を示す宝石で、その衝撃の方向によっては、意外なほど簡単に割れてしまうことがあります。このように宝石の強弱は、皆さんがよくご存知のモース硬度だけでは充分に表現できず、その他のいろいろな性質を総合的に判断する必要があります。オパールは決して割れやすい宝石ではありません。
答えは“NO”です。オパールがあまりにも有名なので他の宝石の影が薄くなってしまっていますが、その他にもたくさんの種類の宝石がオーストラリアでは採掘されます。まずダイヤモンド。オーストラリアが世界で一番ダイヤモンドが採れる国というのをご存知でしたか?ダイヤモンド=アフリカなんてイメージが強すぎて、このお話をすると皆さん驚かれるんですが、実はダイヤモンド産出量世界一はオーストラリアなのです。しかし、オーストラリアで採れるダイヤモンドの多くが宝石品質ではなく、工業用の品質で、そのためオーストラリアダイヤモンドはあまり名声を得ていないのかもしれません。その中で唯一、オーストラリアダイヤの名誉を挽回しているのが“ピンクダイヤモンド”です。文字通りピンク色のダイヤモンドで、大変採れる量が少ないため、なかなか市場に出回る事がなく、またそのお値段もビックリするくらい高価なものになってしまいます。 サファイアもかなりの産出量があります。 そして真珠。南洋真珠と呼ばれる大粒の真珠が盛んに養殖されています。もともと、日本の真珠技術者がオーストラリアで始めたもので、今でも多くの日本人の方たちが、オーストラリアの海で真珠養殖に従事しています。こういった代表的な宝石以外にも、“オーストラリアヒスイ”なんて呼ばれてるクリソプレーズ等様々な半貴石が採掘されています。
本当です。年々、産出量は激減の一途をたどっており、特に高品質のものはたいへん少なくなってきました。産出地ライトニングリッジの採掘業者たちが口々に言うのは、昔のような地色の濃いものが少なくなって、仕方なく一見ホワイトと変わりないようなものまで採っているということです。昔ながらの地色の濃いブラックを“OLD FIELD(オールド フィールド、昔の場所)”なんて呼んだりもします。現在、あらたな鉱区を求めてライトニングリッジの周辺をさかんに採掘しており、中には有望な鉱区も見つかってはおりますが、それでも以前に比べると少なくなっているのが現状です。
石の横から見る事です。本編『賢い選び方』を参照してください。
十数年前は、ホワイトが“1”とするとブラックは“10”なんて比較をしてましたが、現在、その差はより大きくなっていると思います。日本の街中にある宝石店やデパートに行って皆さんご自身で確認していただければわかって頂けると思います。ホワイトオパールを置いていない宝石店はまずありませんが、逆にブラックオパールを置いている宝石店はごくまれです。なぜでしょう。やはりブラックオパールは宝石店にとっても、非常に仕入れる事が難しい宝石なのです。価値が高いのもうなずけるというものです。
このようなご質問大歓迎です。 ゴールドコーストは1年を通しての平均最高気温が20度を超えています。つまり、昼間はほとんど20度以上ということです。日本の夏休みの時期はこちらは冬ですから、海に入るには少し肌寒く感じる方も多いとは思いますが、それでも日焼けするくらい日差しが強いものです。夜になるとぐっと冷え込み、いちばん寒い時で7~8度でしょうか。ですから、気温の差がとても激しくなりますので、それに対応できるような服装の用意をしていらしてください。楽しんでください。
オーストラリアは比較的犯罪の少ない、安全な場所とされています。それでも日本も最近、物騒な事件が増えているように、少しずつよからぬことを考える人が増加しているのは否めません。ブリスベーンにあります日本の領事館等の情報によりますと、窃盗や置き引き等の被害が出ているようです。本来、日本人は他人を信用しすぎてしまうのか(個人的には、決して悪い事だとは思いませんが)、そのような犯罪のターゲットにされているようなところがあるようです。どこの国でも日本を出たら、日本の常識が必ずしも常識にはならないということをふまえた上で、羽を伸ばし、ご旅行を存分に楽しまれるようお願いします。また、オーストラリアご旅行中、何か困ったことが起こったら、ご連絡ください。なにが出来るかわかりませんが、問題解決にご協力させていただけると思います。
近況はブリスベーン領事館のホームページで確認できます。
オーストラリア政府が公認している免税店なんてありません。そこら辺から、お間違いのないように。詳しくは『賢い選び方(つづき)』をどうぞ。また、参考にオーストラリアの免税システムはこちらです。
答えは“NO”です。本編『初級編』を参照してください。
もちろん大きくて、美しい色を持っていれば価値は格段に上昇します。反対に、いくら大きいオパールでも色目が悪ければ価値は下がってしまいます。宝石全般の価値判断でお話すれば、同じ品質であれば、大きいほうが良いに決まっています。しかし、身につける、楽しむものとしての価値判断で考えれば、皆さんそれぞれのお好みによって変わってくるのではないでしょうか?まわりの雑音に惑わされず、ご自分にあったオパールを探してください。
大きさについて付け加えておきます。オパールの大きさは、重さ(ct)だけで判断しないように注意してください。詳しくは『初級編Part5』をご覧ください。
最近、ダブレットオパールに関するお問合せが増えてきました。ブラックオパールの産出量が激減しつつある現在、それを補う形でダブレットオパールの需要が増えているからだと思います。欧米、特にアメリカでのダブレットオパール人気はたいへん高く、eBAY等のメジャーなオークションサイトやオンラインショッピングサイトでも多くのダブレットが販売されています。実際、色の美しい大ぶりのものはかなり高額で取引されているのも事実です。ここゴールドコーストの免税店でも、ダブレットがA$10,000以上の値段で販売されているのを見かけます。ダブレットオパール自体の価値については、もちろん色のよいもの、大きさ、あるいは厚さなどにより様々ですが、あくまでも『天然石ではない』という視点で考えていかなければいけないと思います。しかし、同じ$100の予算で天然ブラックオパールとダブレットオパールを購入しようとすれば、もちろんダブレットのほうがより美しいもの、大きなものが手に入るのは間違いありません。アクセサリーとしてより美しいものを、と言うのであればダブレットはたいへん価値の有るものといえます。つまり購入する人々の価値観の違いであり、頭からダブレットを否定してしまうのは間違っていると考えます。
反面、販売している店側のやり方によって、明確にダブレットと天然の違いを説明しなかったり、故意に混乱を招くような販売の仕方をしているのも事実です。
購入しようとする人々が、充分な知識を販売する側から与えられ、納得の上でダブレットオパールを求めるのであれば、それは購入する人にとり価値のあるものと言えるのではないでしょうか。
『ダブレットオパールってなに?』という方はこちらへ。
以前にも、ブラックオパールの産出量が激減している事をご紹介しました。これに伴い、採掘する人手が減っている事も事実です。 産出全盛期の頃は、割と簡単に採掘をする事ができました。多くの人達が一攫千金を夢見てライトニングリッジへ移住し、採掘を行なっていたのです。実際、ライトニングリッジの鉱夫(マイナー)の約半数はオーストラリア以外の国で生まれた、要するに本当の移住者達でした。大きな元手が不要で、努力と運次第では大きな成果の得られるブラックオパール採掘は、こうした人達をライトニングリッジへ呼び寄せたのです。反面、充分な知識を持たず、また準備も不足気味のこうした採掘は、多くの事故(落盤・酸欠等での死亡事故)をも増やしてしまったのです。近年、オーストラリア政府はこの事故を減らす事、そして環境保全の目的で様々な規制やルールを導入しました。このため、採掘を行なうためには、ある程度の元手(資金)と手間がかかるようになったのです。こうした採掘経費の上昇と、採掘量の減少が、多くのマイナーを結果的には採掘から手を引かせるようになり、益々ブラックオパールの減少につながるという悪循環になってしまっています。
厳密な定義が決まっているわけではありませんが、地色がうすいもの、特に透過性が高い(透けて見える)ものをセミブラックオパールと呼ぶ事があります。つまり、ブラックオパールほど地色が濃くない、くらいの感覚です。現在、ブラックオパールの産出が激減しているため、こうした地色のうすいものが多く出回っており、こちらオーストラリアの免税店や、お土産店で販売しているのはほとんどがこのタイプです。価値を比較しますと、やはり地色の濃い、発色の強いブラックオパールのほうが高くなります。また、これは全てではありませんが、セミブラックオパール(地色がうすい)のほうが含有水分量が多いようで、比較すると割れやすいと言われます
その宝石の種類によりいろいろなケアーの方法があります。しかし、ここでは宝石を身につける上で、一番、注意していただきたい点をお話します。 宝石を身に着けるためには、当然、金やプラチナで枠を作製しそれに宝石を留めていかなければなりません。ここに宝石を長く楽しむための最大の秘訣があります。金やプラチナ等の金属は、温度や湿度などによって多少ではありますが伸び縮みします。この伸び縮みが激しく、あるいは大きくなってくると、留めている宝石が緩んでくる事があるのです。気がつかないうちに宝石が無くなっていたなんて話は、きっと皆さんの周りでも聞いた事があるかと思います。多くの場合は金属の爪が緩んだり、何かに引っ掛けて折れてしまったりする事で起こる不幸な出来事なのです。一番の主役、宝石を紛失してしまう、これほど悲しい事があるでしょうか。このような事の無いよう、宝飾品を身につける前に、その指輪なりペンダントを耳元で振ってみる癖をつけてください。金属の爪が緩んでいれば、『カタカタ』と音がします。そうしたら宝石屋さんで爪を留めなおしてもらいます。これを怠ると、知らないうちに・・・・・、なんて事になってしまうのです。ぜひ、癖をつけるようにしてください。そんな面倒な事できないという方は、せめて半年に一度くらい、耳元で振ってみてください。それだけでも大切な宝石を紛失してしまう危険性は減ると思います。これはダイヤモンドであろうがサファイヤであろうが、全ての宝石を用いた宝飾品に当てはまる事です。気をつけてみてください。早速、ジュエリーケースの中の宝飾品を全て確かめてください。とても簡単ですが大事な事です。
そのとおりです。それぞれの国がそのシンボルとして『国の~』というのを決めていますが、オーストラリアは国のシンボルとして『オパール』をあげています。ちなみにオーストラリアは『オパール』以外にも下のように5種類の国のシンボルを決めています。
最近多くなってきたご質問です。ネットショップやオークションサイトで様々な業者さんがオパールを販売するようになり、こうした商品名のオパールをよく見かけるようになってきました。多くの場合、このように呼ばれているオパールはボルダーオパールのようです。より希少価値の高い“ブラックオパール”にこじつけて販売しようとしているとしか思えません。あるいはその業者さん自体が区別をご存じないのではないでしょうか?絶対的な定義がオパールには決まっているわけではないので、100%間違いとも言い切れないのですが、ボルダーオパールとブラックオパールの価値の違いは間違いなく存在しますので、ご購入に当たっては注意が必要です。(弊社のブラックオパールの定義はこちら)
日本の宝飾業界でも、こうした命名法の不明瞭さを是正しようという動きが最近活発になってきています。以前の『パパラチヤサファイア』の定義に関しての問題が契機となり、鑑別機関での統一的な宝石名の定義を決めていこうとするものです。宝石をお求めになる皆さん、一般消費者の方を惑わせないような方法の確立は、業界全体の将来のためにも不可欠なものでしょう。